一度休むと行けなくなる仕事｜長年何人もの同僚や部下を見て分かったこと

1 こんなはずじゃなかったのに…と感じていませんか？
2 筆者が体験したそれぞれのケース
3 なぜ「一度休むと行けなくなる」のか？
4 あなたが悪いわけじゃない
- 4.1 休むことは、次の一歩の準備

こんなはずじゃなかったのに…と感じていませんか？

かぜあお

たまたま体調を崩して３日休んだだけなのに、翌日から職場に行くのがつらい…

──そんな経験、ありませんか？最初はほんの小さなきっかけだったのに、なぜかどんどん行くのが億劫になってしまう仕事。休んだ翌日から、心に重たい何かがのしかかってくるような感覚。

この記事では、そんな「一度休むと行けなくなる仕事」の本質や背景、そこから抜け出すための具体的な対処法を丁寧に解説していきます。

筆者が体験したそれぞれのケース

① 元気だった部下が、1日の休みをきっかけに退職へ向かった話
ある年、いつも明るく前向きだった20代の部下が風邪で1日だけ欠勤しました。翌日、何とか出勤はしてきたものの、明らかに様子がおかしく、会話も減り、その1週間後に「もう無理です」と退職の申し出が。あとから聞いた話では「休んだことで一気に気が抜けて、自分の限界に気づいた」と。普段の頑張りが裏目に出てしまったケースでした。

② 完璧主義の先輩が休んだ翌日、職場に現れなくなった
几帳面で真面目な先輩職員が、体調を崩して初めて病欠を取りました。ところが、その翌日から連絡がつかなくなってしまいました。「一度崩れたリズムを立て直すのが怖かった」「迷惑をかけてすみませんでした」と、後日連絡があったときに言っていたのが印象的でした。

③ 育児中の同僚が、休み明けに「戻れない」と泣き出した日
子育てと仕事を両立していた女性の同僚が、子どもの発熱で数日間休んだ後、出勤初日に更衣室でぼーっとしていたことがあります。プレッシャーや「また迷惑をかけるかも」という不安で、戻る足が震えたと聞きました。責任感の強い人ほど、こうした場面で限界が一気に来るのだと思い知らされた出来事です。

④ リーダーだった同僚が、有給明けに「自分はもう不要かも」と言った
繁忙期が過ぎて、久しぶりに長めの有給を取った同僚。休み明けに「チームが普通に回っていたのを見て、自分がいなくてもいいんだって思った」と口にしました。その言葉がきっかけで、彼はその後静かにフェードアウトしていきました。責任感と自己価値が結びついていると、ちょっとした変化が不安に直結するんだと感じました。

⑤ 私自身が、体調不良で2日休んだだけで行くのが怖くなったことがある
これは自分の話です。以前、激務の部署で働いていたとき、体調を崩して2日間寝込みました。久しぶりに仕事から解放されたことで、「あれ？自分、限界だったんじゃないか」と気づいたんです。行かなきゃと思う反面、気持ちは重く、何度も玄関で立ち止まりました。「休んだだけで、なぜこんなにも怖いのか」──その経験が今の視点につながっています。

このように、見てきた人たち、そして自分自身の経験から、「一度休むこと」が心のリズムに大きな影響を与えることを現実として実感しています。

なぜ「一度休むと行けなくなる」のか？

実は、「一度休むと行けなくなる仕事」にはいくつかの共通点があります。それは職場環境や人間関係、仕事の性質など、さまざまな要因が複雑に絡み合って生じているのです。

以下の表に、主な原因とその背景を整理しました。

原因	背景や説明
精神的なプレッシャー	常に結果を求められる業務や、上司からのプレッシャーが強い職場では、少しの欠勤が大きな罪悪感に繋がる
人間関係の不安	職場で孤立していたり、苦手な同僚がいると、休んだことによる関係悪化が不安になる
自己肯定感の低下	「自分だけが休んで迷惑をかけた」と思い込み、自分を責めてしまう心理が働く
過度な責任感	任されている仕事が多く、自分がいないことで周囲に負担がかかると感じてしまう
労働環境の問題	長時間労働や過度な業務量が慢性化しており、休むこと自体が「異常」だと認識されている

このような要因が積み重なることで、「また行かなきゃ」と思う気持ちよりも、「行きたくない」「戻れない」という思考が強くなってしまうのです。

解決策①：まずは「罪悪感」を手放す

まず最初に取り組みたいのが、「休む＝悪いこと」という思い込みを手放すことです。人間は機械ではありません。体調や気分の浮き沈みがあるのは当然です。

以下の表は、罪悪感を和らげるための考え方の切り替え例です。

否定的な思考	前向きな置き換え
「自分だけが休んでしまった…」	「誰にでも休息は必要。私もその一人」
「職場に迷惑をかけたかも」	「無理して行っても良い仕事はできない」
「また行くのが怖い」	「怖さを感じる自分を責めなくていい」

罪悪感を手放すことで、心のハードルが少しずつ下がり、次に進むための第一歩を踏み出せるようになります。

解決策②：職場に対する期待値を見直す

「良い職場＝完璧な環境」ではありません。どんな職場にも相性があります。期待しすぎると、その落差に苦しむことも。

過度な期待	現実的な見直し方
みんなが優しく接してくれるはず	人間関係には波があるのが普通
ミスをしたら終わり	ミスは誰にでもある、成長の一部
頑張れば必ず報われる	報われないこともあるが、それも経験

職場への見方を柔軟にすることで、自分を追い詰めない思考が育っていきます。

解決策③：小さな一歩から再スタートする

いきなり「元通り」を目指すと、余計に苦しくなることがあります。まずは小さな一歩から始めましょう。

再スタートの工夫	内容
出勤前のルーティン	好きな音楽を聴く、ゆっくり朝ごはんを食べるなど、心を整える習慣を作る
前日の準備	洋服や持ち物を前日に整えておくことで、朝の不安を軽減する
「行けた自分」を褒める	出勤できた日は自分にご褒美をあげるなど、ポジティブなフィードバックを与える

小さな成功体験を積み重ねることで、自己肯定感が回復していきます。

解決策④：信頼できる人に相談する

一人で抱え込まないことも大切です。家族や友人、あるいはカウンセラーなど、話を聞いてもらうだけで心が軽くなることがあります。

相手	相談するメリット
家族	長期的な視点で支えてくれる
友人	同世代として共感してもらいやすい
カウンセラー	専門的な視点でアドバイスをもらえる

相談することは弱さではなく、自分を大切にする強さなのです。

解決策⑤：本当に合わないなら「手放す」勇気も

どうしても苦しさが消えないなら、その仕事自体があなたに合っていない可能性もあります。

状況	見極めのポイント
毎日強いストレスを感じる	心や体に異変があるなら要注意
何度も繰り返し休んでしまう	無理に続けても悪循環になるだけ
休日も仕事のことが頭を離れない	プライベートの時間まで侵食されているなら赤信号

「逃げ」ではなく、「自分を守るための選択」として、別の道を考えることも大切です。