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「ゆるブラック」とは│Z世代が求める成長と、上司・先輩の役割を考えます

仕事

はじめに:ゆるブラックという言葉を知っていますか?

「ブラック企業」と聞くと、多くの人は 長時間労働・低賃金・パワハラ といった過酷な職場環境を思い浮かべるでしょう。ところが最近では「ゆるブラック」という新しい言葉が注目されています。

「ゆるブラック」とは、一見ホワイトに見えるが、実は成長できずにキャリアが停滞してしまう会社 を指します。
・残業は少ない
・上司も優しい
・大きな負荷もかからない

一見すると働きやすそうに見えますが、その裏には「仕事が単調」「裁量がない」「実力がつかない」といった問題があります。

私は、NHK番組「コント×ドキュメンタリー 笑う会社革命」で初めて知りました。そこでは、若手社員が「居心地はいいけど、このままでいいのだろうか?」と不安を抱えてしまう現実 が描かれていました。

私の年代であろう上司と新入社員のやり取りが、おもしろく、そしてわかりやすく放映されていたのですが、「自分はどうだろう」と悩んでしまいました。

「ゆるブラック」について、自分の現在の職場を重ねてみながら考えます。


成長環境ランキングに見る、企業の取り組み

番組内では「成長環境ランキング」も紹介されていました。ここで注目したいのは 第1位の会社の取り組み です。

Day1から裁量権を与える

入社してすぐに「責任ある仕事」を任せるという方針です。もちろんリスクはあります。しかし、その分、若手社員が「自分が会社を動かしている」という手応えを得やすくなります。

経営者や人事担当者からすると「そんなに早く任せて大丈夫なの?」と思うかもしれません。でも、挑戦の場を与えられることで、若手社員は自ら考え、動き、失敗から学びます。

これが 本物の成長環境 です。

番組では、入社2年目の方がイキイキと働いている姿が映し出されていて、顔つきがとても凛々しく見えました。


Z世代の本音:自分の時間か、やりがいか?

私は正直、Z世代は「プライベート重視」「自分の時間を最優先」と考えている人が多いと思っていました。ところが番組を見て、印象が変わりました。

確かにZ世代にはワークライフバランスを大事にする人もいます。ですが同時に、やりがいのある仕事をしたい、実力をつけたい、社会で通用する力を身につけたい と考える人も多いのです。

つまり、Z世代が求めているのは「ただ楽な職場」ではなく、働きやすさと成長の両立。ここを見誤ると、「うちの会社はホワイトなのに辞めてしまった」という現象が起こりやすくなります。


ゆるブラックに陥る会社の特徴

ここで一度、「ゆるブラック」の典型的な特徴を整理してみましょう。

ゆるブラックの特徴表面的には良い点隠れたリスク
残業が少ないプライベートが確保できる成長のための負荷が足りない
指示が明確で単純作業が多いミスが少ない、安心自分で考える力が育たない
上司が細かく管理する安心感がある裁量がなく責任感が育たない
人間関係が穏やかストレスが少ない成果を出しても評価されにくい

一見すると「ホワイトでいい会社」に見えますが、社員からすると “ぬるま湯” に浸かっている感覚 になりやすいのです。

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上司・先輩としてできる成長支援の工夫

任せる前に「道しるべ」を示す

若手にいきなり仕事を丸ごと任せるのは不安も大きいし、逆に細かく指示しすぎると挑戦できなくなります。そこで大切なのは「任せる範囲」と「守ってほしいポイント」をあらかじめ伝えることです。

  • どこまでが自分で判断してよいのか
  • どこからは必ず相談してほしいのか
  • 成功のイメージはどういう状態なのか

こうした“道しるべ”を示すことで、本人は安心して動けるようになります。


小さな成功体験からスタートする

最初から大きな案件を任せるのではなく、まずは短期間で完了できる小さなタスクを担当してもらいましょう。

  • 例:会議の議事録をまとめる
  • 例:小さな業務フローを改善してみる
  • 例:顧客対応の一部だけを任せる

小さな挑戦であっても「自分でやり切った」という手応えは大きく、その後の成長意欲につながります。


少しずつ裁量を広げていく

最初は「一緒に確認しながら進める」→慣れてきたら「計画だけ相談して実行は任せる」→最終的には「結果だけ報告してもらう」といった具合に、段階を踏んで任せる範囲を広げていくことが大切です。

これは、子どもが自転車に乗るときに最初は補助輪をつけて、やがて外していくイメージに近いです。


定期的な振り返りの時間を持つ

週に一度でもいいので「今週できたこと」「困っていること」「次に挑戦したいこと」を共有する時間を持つと、学びが定着します。

このときのポイントは「できなかったことを責めない」こと。失敗から学ぶことを一緒に整理すれば、次はよりよい方法を考えられるようになります。

私は、部下と話すことを何より心掛けています。話の内容だけでなく、表情や口調からも、部下の様子が汲み取れます。


フィードバックは“より具体的に”

「よかったよ」「もっと頑張って」だけでは本人は次にどう動けばいいかわかりません。

  • 「昨日の会議で、要点を3つに絞って話したのがわかりやすかった」
  • 「報告は早かったけど、数字の根拠があるともっと説得力が出るよ」

このように「どの場面で」「どんな行動が」「どんな効果を生んだか」を伝えると、成長のヒントになります。


安全に挑戦できる環境を作る

「もし失敗してもすぐリカバリーできる仕組み」を用意すると、安心して挑戦できます。

  • 締切より少し前に確認する“途中レビュー”を入れる
  • 大きな判断は必ず先輩がチェックする仕組みにする
  • 万が一のときに戻せるようにバックアップを残しておく

失敗をゼロにするのではなく、“失敗しても大丈夫”な状態を作ることが、挑戦の後押しになります。


成長の進み具合を見える化する

「何ができるようになったか」が見えにくいと、本人もやる気を失ってしまいます。

  • できることリストを一緒に更新する
  • 前回と比べてどこがスムーズになったかを確認する
  • 周囲からの「成長したね」の声を本人に伝える

こうした“見える化”は自信を育てるうえでとても効果的です。


仕事の意義を伝える

特にZ世代は「何のためにこの仕事をするのか」を重視する傾向があります。ただ作業を振るのではなく、「このタスクはチームや会社にどう役立つのか」をセットで伝えると、やりがいを感じやすくなります。


挑戦と自分時間の両立を支える

「成長したい」一方で「自分の時間も大事にしたい」という声も多いです。

  • 残業しなくても成果を出せる工夫を一緒に考える
  • 業務改善や新しい挑戦に使える時間をあらかじめ確保する
  • 成果だけでなく工夫や学びを評価する

こうすることで「無理なく挑戦できる環境」を作ることができます。


まとめ:ゆるブラックを防ぎ、成長環境をつくる

「ゆるブラック」は決して悪意のある働かせ方ではありません。むしろ社員を守ろうとするあまり、挑戦の機会を奪ってしまうことから生まれます。

しかし、Z世代は 「楽さ」だけでなく「成長」も求めている
そのバランスをつくるのは、管理者・先輩の役割です。

  1. 道しるべを示す
  2. 小さな成功から始める
  3. 少しずつ裁量を広げる
  4. 定期的に振り返る
  5. 具体的にフィードバックする
  6. 安全に挑戦できる環境をつくる
  7. 成長を見える化する
  8. 仕事の意義を伝える
  9. 自分時間との両立を支える

これらを実践することで、若手は安心して成長に挑戦でき、組織全体の活気にもつながります。

任せる勇気に“言語化されたガードレール”を足せば、Day1から裁量を渡しても事故らない。挑戦量・学習速度・成果を同時に見る評価軸が、Z世代のやりがいと会社の生産性を両立させます。


おわりに

NHKの「笑う会社革命」で見た若手社員の姿は、私にとっても学びが大きいものでした。Z世代は自分の時間を大切にする一方で、やりがいと実力を求める気持ちも強い

だからこそ、管理職として「任せる勇気」「支える姿勢」を持ち続けたいと思います。

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