目次
はじめに:満たされた日々の中の「むなしさ」
私は、いわゆる「アラフィフ」の年齢で、長年勤めた職場を離れ、まったく違う環境へ飛び込みました。
21年間、私は地域医療を支えるクリニックで医療事務として働きました。その日々は、充実していたと心から言えます。たくさんの患者さんや仲間との出会いは、子育てをする上でも、人として成長する上でも、かけがえのない学びと喜びをもたらしてくれました。
しかし、ある日ふと、周囲を見渡したとき、自分の中に一つの感情が芽生えました。それは「やり切った感」と、それに続く「むなしさ」でした。
このまま、この穏やかな環境の中で、何も変わらず定年を迎えるのだろうか。もちろん、それは幸せな人生の選択肢の一つです。ですが、私の心は叫びました。
「自分の力は、どんなもんなんだろう?」
「まだ、何かを成し遂げられるのではないか?」
これが、私が転職を決意した、本当の動機です。表向きは「やりたかった経理の仕事に戻りたいから」と伝えましたが、本音は、**「人生は一度きり。自分の可能性を試さずに終わったら、絶対に後悔する」**という、内なる挑戦心でした。
過去の学びが「可能性」の扉を開く
正直、不安がなかったと言えば嘘になります。経理の仕事は、独身時代に7年間やっただけ。それも20年以上前のことです。
しかし、私は過去のキャリアの中で、常に**「学び」を止めない姿勢**を大切にしてきました。この学びこそが、転職という大きな決断をする際の、私の土台となり、背中を押してくれたのです。
医療事務時代に得た「土台」
- 簿記の資格取得: 経営的な視点を持つ必要性を感じ、簿記の資格を取得しました。以前、この経験はブログにも書きました。子育てとキャリアの悩み|医療事務・簿記の資格があなたにもたらすも | ワーキングママ・ステーションこの簿記の知識があったからこそ、「経理に戻りたい」というキャリアパスが現実味を帯びました。
- ITパスポートへの挑戦: 50歳を過ぎて、私はITパスポートの資格にも挑戦しました。これもブログに綴っています。ITパスポート 資格取得の勉強法~50代で合格~ | ワーキングママ・ステーション**「新しいスキルを学ぶこと」**に年齢は関係ない。この挑戦で得た自信と、IT化が進む現代社会に対応するための学習習慣は、大きな組織への転職を決めた私にとって、非常に心強い武器となりました。
これらの学びの経験から、私は確信していました。**「年齢がどうであれ、努力して学べば、新しい可能性は必ず開ける」**と。
試練の2年間:「できない自分」との闘い
そして、私はクリニックとは比べものにならないくらい大きな組織の経理部門へ、転職を果たしました。
転職活動中も、私は学びの姿勢を忘れませんでした。新しい会社の規模や事業内容を調べ、求められる経理の知識レベルが以前とは段違いだと痛感し、内定後も入社までの期間、簿記の復習や新しい会計基準の勉強に時間を費やしました。
しかし、実際に働き始めてからの2年間は、まさに試練でした。
組織の文化、スピード感、求められる仕事の精度。すべてが新鮮であると同時に、あまりにも自分の能力が追いついていないことを突きつけられました。
「なぜ、自分はこんな簡単なこともできないんだろう」
情けない思いに何度も襲われ、辞めようかと思った夜もありました。過去の経験や資格は、たしかに転職の機会を与えてくれましたが、新しい職場では**「即戦力」**として求められます。

心を救った、たった一つの教え
そんな苦しい時期、私を支え、救ってくれた言葉があります。それは、ある方からいただいた、非常にシンプルで、奥深い言葉でした。
「何事にも謙虚に。人のために尽くす気持ちを忘れないと、周囲が助けてくれるから。」
この一言が、私の道標となりました。
「できない」と落ち込むのではなく、「できないことを素直に認める謙虚さ」を持つこと。そして、自分のために働くのではなく、まずは組織に貢献する、仲間を助けるという姿勢に徹すること。
私は、この言葉だけを救いに、日々を歩み続けました。
- わからないことは素直に尋ね、メモを取り、徹底的に復習しました。
- 自分の業務だけでなく、周囲が困っていることには積極的に手を差し伸べました。
- そして、何より**「毎日、昨日より少しでも成長する」**という、学びの姿勢を貫きました。
新しい会計システム、膨大なデータ処理、部下や他部署との連携、業務効率化。すべてが挑戦でしたが、この「謙虚」と「貢献」の精神で取り組み続けた結果、少しずつですが、自分の働きを認めてもらえるようになりました。
報われた挑戦、そして次のステージへ
気がつけば、あれほど大きく、冷たい壁のように感じた組織は、今では私にとって、成長の喜びを分かち合える温かい場所となっています。
おかげさまで、働きを認めていただき、経理の管理職という立場を任されることになりました。
経理の仲間とも、本当に良い信頼関係を築くことができています。
20年以上も現場を離れていた私が、アラフィフという年齢で、新しい環境へ飛び込み、苦闘し、そして今、リーダーとして立つことができている。これは、あの時、「自分の力を試したい」という内なる声に耳を傾け、「学び」を止めずに努力し続けたことを認めてくれる人々に出会えたこと以外にありません。
最後に:あなたへ送るメッセージ
もし今、あなたが年齢や経験を理由に、キャリアチェンジや新しい挑戦を諦めようとしているなら、私の経験から、たった一つ、力強くお伝えしたいことがあります。
「やらないと、絶対後悔する」
人生は一度きりです。新しい環境に飛び込む不安は、計り知れません。私自身、情けなさに涙した日もありました。
しかし、その不安や苦闘を乗り越えて得られる達成感と自己肯定感は、それまでの人生をすべて肯定してくれるほどの価値があります。
いくつになっても、私たちは成長できます。 私たちに必要なのは、特別な才能ではなく、**「謙虚に学び続ける姿勢」と、「一歩踏み出す勇気」**だけです。
あなたも迷っているなら、自分の可能性を試してみるという大挑戦を、ぜひ始めてみてください。

