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「年をとる」という言葉に、皆さんはどんなイメージを持っていますか? 体力の衰えや、できなくなることが増えるといった、少しマイナスなイメージを抱く方も少なくないかもしれません。
会社でも、「もう年だからシステムとか苦手なんだよな。」「体がついていかない。もうだめだ。」などを口にする上司はいませんか?
私だって同じです。疲れは抜けない日もあるし、理解に時間がかかる場合もあります。でも、そういわれた周囲の人はどう思うでしょうか。なんと返していいかわかりませんよね。
最近、私は「年をかさねる」という言葉が素敵だなと思うようになりました。一枚ずつ美しい布を積み重ねていくように、経験や想いを積み上げていく。そんな生き方を教えてくれたのは、他ならぬ私の母でした。
母が貫いた、最後までの美学
私の母は、80歳で膵臓がんを患いました。余命宣告を受けてから亡くなるまでの9ヶ月間。母が最後まで守り通した望みは、**「弱った姿を周囲に見せたくない」**ということでした。
最後の1ヶ月、母は親しい友人からの電話にも出ませんでした。冷たいようですが、それは母なりの「引き際」の美学だったのだと思います。亡くなった後、私が連絡をして駆けつけてくれた友人たちは、横たわる母の姿を見て驚いていました。
日本舞踊を嗜んでいた母は、お気に入りの着物をまとい、髪にはシュシュをつけ、扇子を手にして旅立ちました。 「まるで、舞台の合間に眠っているみたいね」 友人たちがそう言って涙を流してくれたとき、母の願いは叶ったのだと確信しました。
ご近所の方々も、「サングラスをかけてスカーフを巻き、颯爽と歩いている姿しか目に浮かばない」と言ってくださいました。
病に侵されてもなお、母は周囲の記憶の中で「格好いい女性」であり続けることができたのではないでしょうか。

※画像はイメージです。
部下の一言で気づいた、私の目指す道
そんな母の背中を見て育った私自身も、気づけばアラカン(還暦前後)と呼ばれる世代になりました。 先日、職場の部下から**「どうして、いつもそんなにはつらつとしていられるんですか?」**と尋ねられました。その言葉をきっかけに、自分が無意識のうちにどんな「年齢の重ね方」を目指しているのか、改めて考えてみたのです。
私が大切にしたいのは、次の3つです。
- 年齢相応の品のある女性であること: 無理に若作りをするのではなく、積み重ねた月日にふさわしい落ち着きを身にまといたい。
- 「顔つき」を整えること :顔の造形は変えられませんが、表情は自分の生き方で変えられます。いつも明るく、穏やかな顔つきでいたい。
- 誰に対しても公平に接すること :相手によって態度を変えず、どんな人にも同じ温かさで向き合える強さを持ちたい。
思い返すと、これらはすべて、あの颯爽と歩いていた母の姿に繋がっている気がしました。
「いい顔」でいるための、日々の積み重ね
母のような凛とした姿を目指して、私が日常で意識している小さな習慣をご紹介します。
「品性」を育む身だしなみと所作
- 「三首」を意識する: 首、手首、足首。この部分に、母のようにスカーフを巻いたり、時計やアクセサリーを丁寧に選んだりすることで、装いに「締まり」と品が生まれます。年齢は首に出ますので、顔だけでなく、首にも乳液・化粧水・エイジングケアクリームを塗っています。
- 姿勢を「点」で意識する: 頭のてっぺんを空から吊るされているようなイメージで。背筋が伸びるだけで、不思議と自信があるように見え、洋服も綺麗に着こなせます。会社ではデスクワークが主になりますが、背もたれは全く使用しません。浅く座り、背筋を伸ばすよう心掛けています。
穏やかな「顔つき」を作る心の持ちよう
- 朝の「鏡チェック」は笑顔から: 出かける前、鏡に向かって一度だけ口角をきゅっと上げます。筋肉に「今日の顔」を覚えさせる、私なりの儀式です。テレビを見ているときも、SNSで見かけるマッサージを行っています。
- 「上機嫌」を自分で選ぶ: 嫌なことがあっても、それを引きずらない。美味しいお茶を飲む、好きな音楽を聴くなど、自分の機嫌を自分で直す術(すべ)を持つことが、穏やかな表情に繋がります。
誰にでも「公平な接し方」
- 「先出し」の挨拶: 役職や年齢に関わらず、自分から先に、相手の目を見て挨拶をする。これだけで、周囲との壁がなくなります。
- 語尾を丁寧に置く: 「〜です」「〜ます」の語尾を投げ出さず、最後まで丁寧に発音する。言葉の終わりを大切にすることは、相手を大切にすることと同じだと考えています。
- 「聴く」姿勢を忘れない: 部下や若い世代の話にも「まずは受け止める」姿勢で。どんな相手からも学ぶことがあるという謙虚さが、内面からの輝き(はつらつさ)を作ってくれます。
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未来の自分をデザインする楽しみ
年を重ねることを怖がらずに楽しむために、「どんな将来を目指したいか」を考えるのは、決して遅すぎることはありません。 むしろ、経験を積んだ今だからこそ、自分という人間をどう仕上げていくか、デザインする楽しみがあるのではないでしょうか。
「20代は神から与えられた顔、30代はあなたの生活が作り出した顔、50代はあなた自身の価値が顔に表れる」 – ココ・シャネル(デザイナー)
みなさんはまだまだこれからの年齢ですが、少しでも頭の片隅に覚えていただけたら嬉しいです。
年を重ねることは、決して枯れていくことではありません。 母が教えてくれたように、自分らしく、凛として。まだまだ、新しいことにチャレンジして、学ぶ心を忘れない!
そう心に決めて、今日も一段ずつ丁寧に、素敵な歳月を重ねていきたい。そう願っています。
