当メディアは各種アフィリエイトプログラムに参加しています

専門職の私が「気が利く雑用」を卒業するまで┃あなたも感情労働を仕組み化してみませんか?

仕事

はじめに:数字と格闘する私の、もう一つの顔

財務経理という仕事は、毎日数字と向き合い、1円のズレも許されない、とてもロジカルな世界です。でも、そんな私の毎日には、もう一つの「裏の顔」がありました。

それは、記念式典の段取りや、大切なお客様をお迎えする時の準備・アテンド、会議のスムーズな手配……。

いわゆる、イベント的なことを仕切らなけらばならない「職場の気配り」を引き受ける役割です。

過去に、心を込めて取り組み、喜んでいただけたことで、次からも「あなたなら安心だから」と声をかけてもらえるようになりました。それはとても光栄で嬉しいこと。

でも、いつの間にかそれが「当たり前の業務」になり、本来の業務時間を少しずつ削ってしまう……。そんな、私が陥った「見えないコスト」のお話をさせてください。

一人で抱え込んで、心がパンクしそうになった日

今でも思い出すと、少し胸がキュッとする出来事があります。数年前、会社の設立記念式典と、経理の月次決算がちょうど重なってしまった時のことです。

当時の私は「みんなも忙しいし、負担をかけたくない。」と、大半のことを一人で背負い込んでいました。昼間は式典の準備で走り回り、夜は静まり返ったオフィスで電卓を叩く日々。そんな中、上席から「急だけど、VIPの送迎ルートを調整しておいて」と頼まれました。

頭の中は、決算の締め切り、データ分析、会議資料の作成、ホテルの予約、食事のアレルギー対応……。色んなことが混ざり合って、ついに私はデスクの前で動けなくなってしまいました。

「私は、何のためにここにいるんだろう?」 その時、ふと気づいたのです。一生懸命になりすぎて、一番大切にすべき自分の専門業務や、自分自身の心の余裕を後回しにしていたことに。

***関連記事***

“頼られすぎる人”のつらさ│経験したからわかるストレス対処法
「また私に回ってきた…」と感じるあなたへ「◯◯さんならやってくれると思って」「悪いんだけど、これもお願いできる?」そんなふうに何かと頼まれることが続いてくると、最初は嬉しかったはずのその言葉も、だんだんとプレッシャーになっていきませんか?一...

「意向をくむ」という、目に見えない優しい技術

なぜ、こうした、担当外の仕事は特定の人に集まってしまうのでしょうか。それは、単なる作業ではなく、相手の「言葉にならない願い」を形にする、とても気遣いが必要だからなのだと思います。

例えば、大切なお客様へお出しする飲み物一つをとってもそうです。

  • 「あの方は冷え性だから、常温のお水を用意しておこう」
  • 「この役員の方は、会議が長引くと少しお疲れが見えるから、このタイミングで甘いものを」
  • 「前回、移動で少しお待たせしてしまったから、今回は一番スムーズな動線のお部屋を選ぼう」

こうした「阿吽の呼吸」は、マニュアルには書いてありません。だからこそ、後輩に任せてうまくいかないと、つい「自分でやった方が早い」と引き取ってしまいがちですよね。 でも、この「優しい気配り」を感覚のままにせず、少しずつ言葉にして伝えていくことが、自分も後輩も幸せにする第一歩になるのです。

気配りを「みんなで取り組むプロジェクト」に変えてみる

私は、経理業務の効率化を行うべく改善を行っている視点を、この「担当外の見えない仕事」に活かしてみることにしました。

自分一人の頑張りに頼るのをやめて、誰でも優しく取り組める「仕組み」を作ったのです。

役割を小さく分けて、「得意」を見つける

「式典の準備」とひとまとめにせず、「お花の手配」「お迎えの案内」など、小さく分けてみました。 それぞれに、こまかく担当を割り振りました。担当だけでなく、気遣う点なども入れ込み作成しました。

ここで大切なのは、その人の良さを見極めること。所作が美しく、笑顔が素敵な人。数字に強くて裏方作業が丁寧な人。それぞれの「得意」に合わせて役割をお願いすると、みんなが主役になれる場所が見つかりました。

「今、何が起きているか」をみんなで共有

私の頭の中にある段取りを、みんなが見ることのできる共有シートを作成。上席にも報告しやすいようなカスタマイズしやすい資料にして、関係するすべての人が把握できるようにしました。

「今、ここまで進んでいるよ」ということが見えるだけで、後輩たちも安心して動けるようになります。私が一人で抱えていた不安が、チームの安心感に変わった瞬間でした。

式典後、ひとりの後輩が「部内全員に担当を割り振っていただいたおかげで、みんなのやる気が違いました。ありがとうございました」と声をかけてくれました。本当に嬉しかったです。

「迷ったら、一緒に選ぼう」という安心感

後輩には「一人で悩まないで、いつでも相談してね」と伝えています。 「A案とB案、どちらが喜ばれるでしょうか?」と一緒に考える時間を持つことで、後輩の「推察する力」をゆっくり育てつつ、大幅なやり直しも防げるようになりました。

次世代へバトンを渡す――「所作」はあなたを守る武器になる

後輩にバトンを渡すとき、私はいつもこう声をかけています。 「これは単なる雑用じゃなくて、その場の空気を心地よくデザインする、素敵なスキルなんだよ」

背筋を伸ばした所作、温かい笑顔。それらがその場にあるだけで、会議も商談も驚くほどスムーズに進みます。それは組織にとって、かけがえのない「潤滑油」のような存在です。

「次からは、あなたがこの場の空気を作ってみてね。私はすぐ後ろで見守っているから」 そう言って、少しずつ舞台を譲るようにしています。

最初は勇気がいりますが、「自分がいなくても回る」という状態を作ることは、後輩を信頼し、自分自身の新しい可能性を広げるための、一番のプレゼントなのです。

おわりに:自分を大切に、本来の輝きを取り戻すために

結果としてどれだけ素敵な式典ができあがっても、本業はその専門知識で会社を支えることです。

「見えない仕事」を仕組みにして、後輩に繋いでいくこと。それは決して無責任なことではなく、あなた自身がもっと輝くための、前向きなステップです。

もし、同じように悩んでいるあなたが、その優しさを「仕組み」に変えて、周りを育て始めたとき。 あなたはきっと、ただの「便利ないい人」ではなく、みんなに心から信頼される、温かなリーダーになっているはずです。

さあ、あなたのその素敵な気配り、そろそろ次の世代へ、優しく手渡してみませんか?

PAGE TOP