ビジネスメールや手紙、お礼状の冒頭を飾る「季節の挨拶(時候の挨拶)」。
四季折々の豊かな表情を持つ日本では、その時期に合わせた言葉を選ぶことで、相手への配慮や敬意を伝えることができます。
しかし、「どの月にどの言葉を使えばいいのか分からない」「ビジネスメールとお礼状では書き方が違うの?」と悩むことも少なくありません。
この記事では、1月から12月までの月別の季節の挨拶の例文と、ビジネスシーンや手紙・お礼状で失敗しないための重要な注意点を分かりやすく解説します。
季節の挨拶(時候の挨拶)とは?
季節の挨拶とは、頭語(「拝啓」など)の後に続ける、その時期の気候や季節感を表現した文章のことです。
主に以下の2つのスタイルがあります。
- 漢語調(かんごちょう): 「新春の候」「新緑の みぎり」など、漢字と「候(こう)」「みぎり」を組み合わせたフォーマルな表現。主に改まった手紙や公的なビジネス文書で使われます。
- 和語調(わごちょう): 「暦の上では春とはいえ」「青葉が目にまぶしい季節となり」など、口語体で季節感を表現した柔らかな表現。ビジネスメールやお礼状、親しい相手への手紙に適しています。
【月別】季節の挨拶・例文3選
ここからは、1月から12月まで、月ごとにすぐ使える例文をご紹介します。
相手との関係性や、その年の実際の気候に合わせて使い分けてみてください。
👉1月(睦月 – むつき)
- 例文1(正月過ぎ): 新春の慌ただしさも一段落し、ようやく平穏な日常が戻ってまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
- 例文2(中旬~下旬): 大寒を迎え、寒さがいっそう厳しくなってまいりました。皆様お風邪など召されていませんでしょうか。
- 例文3(全般): 寒さの中にも、どこか新春の清々しさを感じる今日この頃、貴社におかれましてはますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。
👉2月(如月 – きさらぎ)
- 例文1(上旬・立春): 暦の上では春を迎えましたが、まだまだ厳しい寒さが続いております。
- 例文2(中旬): 梅のつぼみがふくらみ、ほのかな春の訪れを感じる季節となりました。
- 例文3(下旬): 冬の名残が惜しまれる昨今ですが、皆様におかれましてはお変わりなくお過ごしでしょうか。
👉3月(弥生 – やよい)
- 例文1(上旬): 早春の心地よい風が吹く季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
- 例文2(中旬): 日差しがようやく春めいてまいり、コートを脱ぐ日も増えてまいりました。
- 例文3(下旬・桜): 桜の開花の便りが聞かれる頃となりました。新年度を控え、お忙しい日々をお過ごしのことと存じます。
👉4月(卯月 – うづき)
- 例文1(上旬): 花々が咲き誇る季節を迎え、街行く人々の表情も心なしか華やいで見えます。
- 例文2(中旬): 暖かな春光が降り注ぐ今日この頃、皆様におかれましては健やかにお過ごしのこととお慶び申し上げます。
- 例文3(下旬・新緑): 葉桜の季節となり、新緑の青葉が目に鮮やかな季節を迎えております。
👉5月(皐月 – さつき)
- 例文1(上旬・GW): 五月の爽やかな風が吹き抜ける今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
- 例文2(中旬): 街路樹の緑がにわかに濃くなり、初夏の気配が感じられる季節となりました。
- 例文3(下旬): 汗ばむほどの陽気が増えてまいりましたが、貴社におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
👉6月(水無月 – みなづき)
- 例文1(上旬・衣替え): 初夏の爽やかな季節から、次第に梅雨の気配を感じる今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
- 例文2(中旬・梅雨): 連日の雨模様ですが、色鮮やかに咲くあじさいの花に心が和む季節となりました。
- 例文3(下旬): 梅雨明けが待ち遠しい昨今、皆様におかれましては体調を崩されていませんでしょうか。
👉7月(文月 – ふみづき)
- 例文1(上旬): 暦の上では小暑を迎え、いよいよ本格的な夏がやってまいりました。
- 例文2(中旬): ひまわりが太陽に向かって大輪を咲かせる季節、皆様いかがお過ごしでしょうか。
- 例文3(下旬): 連日、厳しい暑さが続いておりますが、貴社におかれましてはますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。
👉8月(葉月 – はづき)
- 例文1(上旬・立秋): 暦の上では秋を迎えましたが、まだしばらくは厳しい残暑が続きそうでございます。
- 例文2(中旬): 朝夕にわずかな秋の気配を感じる日もありますが、いかがお過ごしでしょうか。
- 例文3(下旬): 夜を彩る虫の音に、確かな秋の足音が聞こえる季節となりました。
👉9月(長月 – ながつき)
- 例文1(上旬): 朝晩はめっきり涼しくなり、秋の気配が肌に心地よく感じられる季節となりました。
- 例文2(中旬): すがすがしい秋晴れの好天が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
- 例文3(下旬): 「暑さ寒さも彼岸まで」と申します通り、すっかり秋めいてまいりました。
👉10月(神無月 – かんなづき)
- 例文1(上旬): 爽やかな秋風が吹き抜け、何をするにも心地よい季節を迎えました。
- 例文2(中旬): 木々の葉が鮮やかに色づき始め、実りの秋を実感する今日この頃でございます。
- 例文3(下旬): 日が暮れるのがすっかり早くなり、夜長を心静かに過ごす季節となりました。
👉11月(霜月 – しもつき)
- 例文1(上旬): 街路樹の枯れ葉が舞い、行く秋が惜しまれる季節となりました。
- 例文2(中旬): 朝晩の冷え込みが厳しくなり、冬の訪れを身近に感じる今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
- 例文3(下旬): 暦の上では小雪を迎え、いよいよ本格的な寒さが到来いたしました。皆様お風邪など召されていませんでしょうか。
👉12月(師走 – しわす)
- 例文1(上旬): 師走に入り、街もにわかに慌ただしさを増してまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
- 例文2(中旬): 寒冷の折、今年も残りわずかとなり、何かとご多忙のことと存じます。
- 例文3(下旬): 本年も残りわずかとなりました。皆様におかれましては、良き新春を迎えられますよう心よりお祈り申し上げます。

ビジネスメールで季節の挨拶を使う際の注意点
ビジネスメールは「スピード」と「簡潔さ」が重視されるため、手紙とは異なる配慮が必要です。
スピード重視の通常メールでは省略することが多い
毎日の業務連絡や、急ぎの見積もり、頻繁にやり取りしている相手への業務連絡などのビジネスメールでは、省略されることが多いです。
毎回長々とした挨拶を入れると、要件が伝わりにくくなり、かえって相手の時間を奪ってしまいます。
通常のメールでは、「お世話になっております。〇〇社の〇〇です。」から始めて問題ありません。
長文の案内や久しぶりの連絡で活用する
ビジネスメールで季節の挨拶が活きるのには、以下のような場面です。
- 数ヶ月ぶりに連絡をする相手へのメール
- 時候の挨拶を兼ねたイベントやセミナーの案内メール
- 社外向けのメルマガやブログの冒頭
気候の「体感」に合わせる(カレンダー通りにしない)
例えば、暦の上では2月4日頃が「立春」ですが、実際には1年で最も寒い時期です。
まだ大雪が降っているような地域に対して「春の光が~」と送ると違和感を与えます。
カレンダー上の季節(二十四節気など)を意識しつつも、「相手の住んでいる地域の実際の気候」や「現在の体感温度」に合わせた言葉を選びましょう。
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手紙やお礼状を出す際の注意点・マナー
お礼状や改まった手紙を出す際は、ビジネスメールよりもさらに丁寧なビジネス etiquette(マナー)が求められます。以下の点に特に注意しましょう。
「頭語」と「結語」は必ずセットで使う
手紙やお礼状では、季節の挨拶の前に「頭語(書き出しの言葉)」を置き、文章の最後に「結語(結びの言葉)」を配置します。これらは組み合わせが決まっています。
| 頭語(書き出し) | 結語(結び) | 用途 |
|---|---|---|
| 拝啓(はいけい) | 敬具(けいぐ) | 最も一般的・フォーマル |
| 謹啓(きんけい) | 謹白(きんぱく) | 相手への深い敬意(目上の方向け) |
| 急啓(きゅうけい) | 草々(そうそう) | 取り急ぎ用件を伝える場合(季節の挨拶は省略) |
構成例: 拝啓 新緑の みぎり、貴社におかれましては……(季節の挨拶と主文) ──(中略)── 今後ともよろしくお願い申し上げます。 敬具
感謝の言葉(主文)へスムーズに繋げる
お礼状の目的は、あくまで「感謝を伝えること」です。季節の挨拶が長くなりすぎないようスマートにまとめ、相手の健康や発展を祈る言葉を添えた後、スムーズにお礼の言葉へと繋げます。
お礼状の導入例: 拝啓 爽やかな秋晴れの好天が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。 さて、先日はご多忙のところ、貴重なお時間をいただき誠にありがとうございました。(主文へ続く)
お礼状は「スピード」が重要
何かをいただいたり、お世話になったりした際のお礼状は、「できれば3日以内」「遅くても1週間以内」に出すことをおすすめします。
一般的には、3日以内を目安にすると丁寧な印象になります。
もし投函が遅れてしまった場合は、季節の挨拶を入れる前に「大変遅くなりましたが」とお詫びの言葉を一言添えるのがマナーです。
ネガティブな表現を避ける
特にお礼状やお祝いの手紙では、季節を表現する場合であっても、相手の状況に配慮した言葉選びが必要です。
例えば、真夏に「うだるような暑さで参ってしまいますが」といったネガティブな表現(忌み言葉・不快感を与える言葉)は避け、「涼を誘う風が~」「ひまわりが美しく咲き~」といった、前向きで爽やかな表現を選ぶように意識しましょう。
まとめ
季節の挨拶は、一見すると形式的なものに思えるかもしれません。
しかし、日本の四季を背景に「相手の体調を気遣う」「相手の発展を喜ぶ」という、日本ならではのおもてなしと敬意の心が詰まった美しい文化です。
ビジネスでのお礼状にサラリと季節の言葉を添えることができれば、「ビジネスマナー」が身についた、信頼できる大人の対応」として、相手に非常に良い印象を残すことができます。
今回ご紹介した例文をベースに、ぜひあなたらしい温かみのある言葉を添えて、素敵な文章を作ってみてくださいね。
