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「丁寧な敬語を使おう!」と意識すればするほど、なぜか迷宮入りしてしまうことってありますよね。
職場で後輩ができたり、責任のある仕事を任されたりする中堅世代になっても、実は意外と「これって正しかったっけ?」と手が止まってしまうのが敬語の難しさ。
私自身、対面での言葉遣いはもちろんですが、メールを打っている際も「あれ?これでよかったっけ」と確認してしまうことは、今だにあります。
特に、相手を敬いたい一心でついつい「盛りすぎて」しまう『二重敬語』は、ビジネスシーンのあちこちに潜んでいます。
「おっしゃられる」「拝見させていただきます」……。
良かれと思って使っているその言葉、実は相手に「まどろっこしいな」と思わせたり、ちょっぴり教養を疑われてしまったりする原因になっているかもしれません。
今回は、そんな「丁寧のつもりが逆効果」になってしまう二重敬語について、私の経験をもとに、スッキリ整理しました!
- 「二重敬語」って結局なに?
- 知らずに使うと損をする3つのデメリット
- 今日から使える!正しい言い換え早見表
「今さら聞けない……」という中堅社員の方も、この機会に「引き算の敬語」をマスターして、もっとスマートで信頼される自分を目指してみませんか?
それでは、さっそくチェックしていきましょう!
二重敬語とは何か?
二重敬語とは、「一つの語について、同じ種類の敬語を二重に使ってしまうこと」を指します。
例えば、「言う」の尊敬語は「おっしゃる」ですが、そこにさらに尊敬の助動詞「〜れる」を加えて「おっしゃられる」としてしまうケースです。
これは、すでに完成している敬語に、さらに同じ属性のパーツを重ねてしまっている状態。
いわば「セーターの上にセーターを着ている」ような、過剰で不自然な状態なのです。
なぜ二重敬語を使ってしまうのか?
それは「相手を敬いたい」という気持ちが強いあまり、「もっと丁寧にしなければ」という不安や焦りが生じるからです。
しかし、日本語のルールとしては、敬語は基本的に「1つの言葉に1つ」が原則です。
二重敬語がもたらす3つの弊害
「丁寧なんだから、別にいいじゃないか」と思うかもしれませんが、ビジネスにおいて二重敬語は以下のようなマイナスな印象を与えてしまいます。
「うざい」「回りくどい」という印象
言葉数が増えるため、話のテンポが悪くなります。
忙しいビジネスパーソンにとって、結論にたどり着くまでの不要な装飾は「結局何が言いたいの?」というストレスに繋がります。
正しい日本語を知らないと思われる(信頼感の低下)
「敬語の使い方がおかしい=基本的なマナーが身についていない」と判断されるリスクがあります。
特に、言葉に敏感な年配の役員やクライアントに対しては、知的な信頼感を損なう致命傷になりかねません。
無礼(ぶれい)に感じられることも
あまりに丁寧すぎると、かえって「バカにされているのではないか」「距離を置かれている」という心理的障壁(壁)を相手に感じさせてしまうことがあるかもしれません。
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間違いやすい二重敬語:早見表
ビジネスで頻出する二重敬語を、「尊敬語(相手を高める)」と「謙譲語(自分を低める)」に分けて整理しました。
正しい言い方をしっかりマスターしましょう。
【尊敬語】相手の動作に対して
| 間違った表現(二重敬語) | 正しい表現 | 解説 |
| おっしゃられる | おっしゃる | 「おっしゃる」自体が尊敬語なので「れる」は不要 |
| ご覧になられる | ご覧になる | 「ご覧になる」で完成された尊敬語です |
| お見えになられる | お見えになる | 「お見えになる」だけで十分敬意が伝わります |
| お召し上がりになられる | お召し上がりになる | 「召し上がる」に「お〜になる」を重ねるのはNG |
| お帰りになられる | お帰りになる | 「お〜になる」だけでOK。「れる」は蛇足です |
【謙譲語】自分の動作に対して
| 間違った表現(二重敬語) | 正しい表現 | 解説 |
| 伺わせていただきます | 伺います | 「伺う」と「せていただく」の重複。原則は「伺います」 |
| 拝見させていただきます | 拝見します | 「拝見する」が謙譲語。許可を得る文脈以外は不要 |
| 拝読させていただきます | 拝読します | 「拝読」に「いただく」を重ねると過剰です |
| お聞きさせていただく | お聞きする | 複雑すぎて意味不明。シンプルに「お聞きする」 |
| ご説明させていただきます | ご説明します | 「〜させていただきます」の多用は二重敬語の温床 |
ビジネスで即役立つ!例文10選(Before ➡ After)
現場でよく使われるフレーズを、スマートな表現にブラッシュアップしましょう。
- 上司の意見を聞くとき
- ×:部長がおっしゃられた通りです。
- ○:部長がおっしゃった通りです。
- 資料を読んでもらうとき
- ×:こちらの資料を、後ほどご覧になられてください。
- ○:こちらの資料を、後ほどご覧ください。
- 来客があったとき
- ×:あちらに田中様がお見えになられています。
- ○:あちらに田中様がお見えになっています。
- 相手の会社を訪問するとき
- ×:明日、14時に伺わせていただきます。
- ○:明日、14時に伺います。(※「伺わせていただきます」は広く使われすぎて許容されつつありますが、本来は「伺います」がスマートです)
- メールを確認したとき
- ×:お送りいただいた資料を拝読させていただきました。
- ○:お送りいただいた資料を拝読しました。
- 会議で発言するとき
- ×:私の方からご説明させていただきます。
- ○:私からご説明いたします。
- 相手が何かを食べるとき
- ×:どうぞ、温かいうちにお召し上がりになられてください。
- ○:どうぞ、温かいうちにお召し上がりください。
- 予定を確認するとき
- ×:社長は明日、お帰りになられますか?
- ○:社長は明日、お帰りになりますか?
- 他人の意見を聞いたとき
- ×:先ほど、〇〇様からそのようにお聞きにならせていただきました。
- ○:先ほど、〇〇様からそのように伺いました。
- 何かを検討した結果を伝えるとき
- ×:検討させていただいた結果、今回は見送らせていただきます。
- ○:検討いたしました結果、今回は見送らせていただきます。

まとめ:二重敬語から卒業するためのチェックポイント
敬語は「盛ればいい」というものではありません。
むしろ、引き算の美学が求められます。
最後に、今後二重敬語に陥らないためのポイントを3つお伝えします。
「れる・られる」を疑う
「おっしゃる」「なさる」「ご覧になる」といった敬語の動詞そのものを使っているときは、その後に「れる」が付いていないか必ずチェックしましょう。
付いていたら、それはほぼ確実に二重敬語です。
「〜させていただく」を使いすぎない
現代ビジネスにおいて、最も乱用されているのが「〜させていただく」です。
これは本来「相手の許可が必要で、それによって自分が恩恵を受ける」場合に使う言葉です。
何でもかんでも「させていただく」を付けると、文章が重くなり、二重敬語の原因になります。
迷ったら「シンプル」に戻る
敬語の基本は、相手への敬意を正しく伝えること。複雑すぎて自分でもよく分からなくなったら、一番シンプルな敬語の形(例:「お〜する」「〜いたす」など)に戻してみてください。
「正しい敬語は、相手に対する最高の身だしなみ」です。
二重敬語という「着込みすぎ」を脱ぎ捨てて、スマートで信頼されるビジネスコミュニケーションを目指しましょう。
